2005年2月21日 市民フォーラム代表質問 木村民子

市民フォーラムは本会議質問をそれぞれ分担していつも執筆します。この代表質問では鹿倉が担当したのは介護保険制度の改定についての部分です。

市民フォーラムを代表して@性教育についてA幼保一元化 B保育園の民営化 C特別支援教育 D高齢者・障害者等の移動対策に関して E介護保険制度の改正について質問します。区長答弁はこちら

1、まず、性教育について質問します。

東京都教育庁は2004年5月20日付けで区市町村に「性教育の手引き」を配布しま

した。これには「一部の学校において、児童・生徒の教育指導上問題がある性教育の実践が行われている実態が明らかになり、…」とし、1994年度以降に発行した「性教育の手引き」を改訂した経緯が示されています。これまで「ジェンダーフリー」を攻撃する一部の人々は、「性別をなくすという行き過ぎたジェンダーフリー教育の名のもとに、教育現場では過激な性交教育を行っている」というチラシをまき、性教育のあり方を問題視してきました。しかし本当に教育指導上問題がある性教育の実践が行われてきたのでしょうか。

 問題の発端は、2003年に都立七生養護学校で、知的障害のある生徒たちに男女の人形などの教材を使って性教育を行っていたことに対し、視察した数人の都議が不適切として議会で質問したことにあります。この人形などは、特に障害のある子にとって、具体的な教材がなければ、生命の誕生や性を教えることが難しいと、保護者や教師、専門家が8年余りもかかって作りあげたもので、子どもたちにも素直に受け入れられていたものでした。それを東京都教育委員会は、使用禁止にして提出させ、教員たちを厳重注意としたのです。この処分に対し、養護学校の保護者や教員たちは、04年1月東京弁護士会に対し、厳重注意の撤回や教材の使用禁止措置の差し止めなどを求めた人権救済を申し立てていました。これを受けて、東京弁護士会は今年1月27日、都の処分は不当とし、教員処分の撤回と、教材一式の返還などを勧告しました。

つまり第三者の専門家の判断では、性教育の実践において教育指導上問題はなかったと

されるものを、数人の都議の意見を受け、都教委は結果的に教材の使用禁止を強行したのです。しかも、横山教育長は、このことから「具体的な実践事例を示した『性教育の手引き』を改訂し指導の徹底を図る」と答弁していました。

 しかし、三重県議会では04年11月、「性教育、ジェンダーフリー教育の是正を求める請願」を不採択にしています。

 今回改訂された「性教育の手引」は、以前のものと比較してみますと、「性の倫理やモラルの低下」が強く前面に出されているのが特徴です。「性の健康教育」で日本各地を講演しているカナダ人のメグ・ヒックリンさんは小学校4年生の男子、女子を対象にした授業で、性器の名称から勃起、セックス、妊娠、出産まで話をしているということです。子どもたち自身が性を肯定的に受けとめ、いかに正しく性の知識を学ぶかという視点が学校の性教育でも重要と考えますが、いかがですか。改訂版は非常に教条的で、以前、厚生労働省の「健やか親子21」により作成された小冊子『ラブ&ボディBOOK』(これも一部から問題とされ配布が差し止められましたが)のように子どもたちの率直な疑問に答えるものとは程遠い内容です。文京区の教育委員会では、この改訂版に対し、どのような見解を持ち、どのように指導していく考えか、お聞かせください。

 

 このほど青少年健全育成条例の改正に伴い、都青少年問題協議会は05年1月に答申を出し、その中で都内の中学3年生の時点で9.1%(男子は12.3%)に初交経験があり、12年前の約2.7倍となっていることを指摘していました。一方、旭川医大の今井助教授らの調査では、高校生男女3200人のうち、性感染症の感染率は女子13.9%、男子7.3%で、16歳の感染率が最も高いという結果が出ており、青少年が知識不足から無防備な性行動に走りやすいと警告を発しています。また、クラミジアなどに感染するとエイズウイルスに3〜5倍も感染しやすくなるため、性感染症とエイズ予防を連動して考えるべきと専門家は危機意識を抱いています。

 文京区の小学校で使用している3,4年の保健の教科書には、思春期の身体の変化がかなり詳しく掲載されているものの、そのあとは中学の保健教科書で「性機能の成熟」の単元で受精と妊娠がとりあげられてはいますが、性行為に関しては触れられていません。性的接触を通して感染するエイズや性感染症などについては、感染予防まで学校教育の中で正しく教えることが必要ではないでしょうか?

 ただ、そのためには、保護者、養護・保健体育教諭、カウンセラー、保健師、あるいは性教育に取り組んでいるNPOなどが正面から話し合い、子どもたちの発達段階、興味、関心などに応じた性教育について連携を取るべきと考えますが、現状ではどのように対応しているのでしょうか? ちなみにWHOでは性行為をしてはいけないという押しつけは、むしろ性行動を開始する年齢を早めてしまうと報告しています。

 

 なお、青少年の性行動の低年齢化を憂慮した都青少年問題協議会では、行政は青少年に対し、「情報提供、相談、教育など多用な対応や支援に努める必要がある」と提言しています。相談体制の充実を望みますが、いかがでしょうか? 特に10代の女性は身体が十分に発達していないため、性感染症にかかりやすいことや、望まぬ妊娠などで悩みは深刻ですが、他区市にあるような女性専用外来などの医療機関、あるいは思春期の身体と心の悩みを相談する機関を区内にも設置すべきと考えますが、いかがでしょうか?

 

2.次に、幼保一元化に関して伺います。

今年1月11日の教育委員会で、「文京区幼保一元化施設検討PTにおける検討状況について」の報告が示されました。そこで、今回の報告で示された実施の方策、ならびに今後の検討課題に関して質問いたします。

 

 まず初めに、3歳児保育について伺います。

 今回の実施の方策では1・2歳児は保育園、3歳から5歳児は幼稚園に位置づけるとし、4時間の基本保育以外の約7時間の長時間保育は、法的には幼稚園の預かり保育とするとしています。また、今後の検討課題とされている定員については、基本保育と長時間保育の定員を設け、1、2、3歳児は長時間保育定員のみ、4、5歳児は基本定員と長時間定員をそれぞれ別に定員設定しています。

問題なのは、3歳児の扱いです。幼稚園の3歳児保育にあたる基本保育の定員は0で、長時間保育の定員のみが10人となっています。さらに、この長時間保育保育を受けることができるものは「保育に欠ける」ことが要件とされています。

 3歳から5歳は学校教育法に基づく幼稚園という位置づけでありながら、3歳児については「保育に欠ける」要件のものだけが入園できる長時間保育の定員のみを設定し、基本保育の定員を設定しないことは、保護者についての要件を定めていない学校教育法上の幼稚園として法的に問題がないのでしょうか。

幼保一元化施設の柳町幼稚園での設置が決まり、保護者への説明会がすでに行われました。その席上、あるいはその後、「基本保育での部分でも3歳児保育をはじめて欲しい」との要望が保護者から出され、「長時間保育のみを対象とするのは不公平である」との声も上がっています。幼稚園保護者に不公平感を抱かせることは、今後の幼保一元化施設の円滑な運営に大きな支障をもたらすのではと懸念します。文京区初の幼保一元化施設が成功するためには幼稚園関係者の理解と協力が必至です。柳町幼稚園の保護者をはじめ、多くの区民から要望の高い3歳児の「基本保育」を実施するよう強く求めますが、いかがですか。

現在、柳町幼稚園では未就園児の活動「やなぎっこ」、3歳児の活動「あおぞらっこ」が実施されており、「あおぞらっこ」の会員は02年21人、03年22人、04年33人と年々増加しています。幼保一元化施設への改修により、未就園児、3歳児のための活動の場がなくなるのではと心配されています。これまで実施されてきた子育て支援活動を、今後どのように継続していくのでしょうか。

 

次に「預かり保育」の要件について伺います。

3歳児から5歳児の長時間保育は法的には幼稚園の預かり保育に位置づけられています。文部科学省は、預かり保育の基本的な考え方として、「当該幼稚園に在園する幼児で、保護者が預かり保育を希望する幼児を対象として行う教育活動である。したがって、すべての幼児に対して、保護者が勤務している等のために幼児が「保育に欠ける」状態であるか否かは問わないのが原則である。」としています。

しかし、今回の幼保一元化施設での預かり保育は「保育に欠ける」ことが要件とされたため、幼稚園なら要件を問わずに預かり保育を受けることができたものが、幼保一元化施設になったことで、排除されることになってしまいます。

教育改革区民会議第一次答申では、幼保一元化の必要性として、「幼保一元化施設を加えることにより、保護者の就労形態にかかわらず、子どもが保育・教育の機会を等しく得ることができるよう、保護者の選択肢の拡大が図られる」と、述べられています。また、総合施設について検討を行ってきた中央教育審議会幼児部会と社会保障審議会児童福祉部会の合同検討会議が昨年12月に出した審議のまとめでも、「総合施設については、親の就労の有無・形態等で区別することなく、就学前の子どもに適切な幼児教育・保育の機会を提供」と、書かれています。

 今回の幼保一元化施設が教育改革区民会議や国の総合施設の考えと矛盾することなく、子育て支援の選択肢の拡大となるためにも、長時間保育の要件を、「保育に欠ける」だけではなく、「保育を必要とする」などの要件の拡大を検討すべきではないでしょうか。また、柳町幼稚園保護者からも要望が出されている一時保育も実施すべきと思いますが、いかがでしょうか?

 

次に、預かり保育の保育の質について伺います。

今回の幼保一元化施設での長時間保育は前にも述べたように、学校教育法の「預かり保育」に位置づけられていますが、その「預かり保育」について文部科学省は、「幼稚園の教師の指導の下、幼稚園の管理責任が及ぶ範囲内において実施されることが必要である」としているものの、教員の資格や人員配置の基準を設けていません。今回の幼保一元化施設の「預かり保育」の職員資格、職員配置について、現在、どのような検討が行われているのか、伺います?

文京区の公設保育園の場合、国の児童福祉施設の基準に加え、東京都基準による保育士の加算も行われています。長時間保育の保育水準が、これまでの文京区の公設保育園の保育水準より低下したのものであれば、保護者は安心して子どもを預けることはできません。長時間となる「預かり保育」における保育の質を十分に確保するよう、資格のある保育士をきちんと配置し、継続性、安定性のある保育を実施すべきですが、いかがですか。

 

最後に、幼保一元化施設の給食調理の外部委託の検討について伺います。

今回、今後の検討課題として給食設備は設置し、調理は外部委託を検討するとの方針が示されました。

現在、文京区の公設保育園では調理の外部委託は導入されておらず、乳児から幼児までの発達段階に応じ、また、その日の子どもの体調や、食事の進み方などに合わせたきめ細かな対応が調理員により行われ、保護者からも高く評価されています。調理の外部委託については保育士と調理員との連携の問題など、検討すべき課題が多くあり、また、幼保一元化施設だけではなく、文京区の保育のあり方にも関わる問題であり、十分な検討もないまま幼保一元化施設で先行導入することはやめるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 幼保一元化施設の具体的な検討を行っているプロジェクトチームは庁内組織で、幼稚園保護者、保育園保護者など区民の参加はなく、会議を傍聴することもできません。今後、認可保育園父母の会との意見交換もあると聞いていますが、柳町幼稚園をはじめ幼稚園の保護者、保育園保護者の意見を十分に尊重し、子どもの最善の利益を実現することができる幼保一元化施設となるよう求めますが、教育長の考えをお示しください。

   

3.保育園の民営化について質問します。  

昨年11月より「新行財政改革推進計画における保育園のあり方検討協議会」の第二次協議会が始まりました。これは第一次協議会において、運営方式に係る具体化の手法が審議未了のまま期限切れとなったことを受け、新たに本年3月末までさらに検討を継続することによるものです。

 しかし、保護者委員の提案した「地方独立法人化」、「民間移管」、「公設公営のままでの改革」の3案に対しての具体的な手法を検討し、総合評価を下すにはほど遠いのが現状です。

第二次協議会における区の態度は「保育園改革は、人件費比率の縮減と都市型の多様な保育メニューの充実が目的であり、民営化が目的ではない」とするものの、2004年度から2008年度までの5年間に2園の民営化を達成することを至上命令とし、「保育の質」の一層の向上を目指し、2009年度以降をも視野に入れた文京区の保育園のあり方を描いて議論を進めようとする保護者委員との間に大きな隔たりがあります。行革という限られた期間の改革であっても、その与える影響は未来にまで及びます。

区は、2009年度以降の文京区の保育園のあり方のビジョンをどのように描いているのでしょうか。「全園民営化はしない」や「いつまでも退職不補充をするわけではない」などは総合的なビジョンではありません。また、「官民による保育施策を展開し、区民の保育ニーズに柔軟に応えていく」のみでは、具体性に欠けます。総合的かつ具体的な行革後の2009年以降のビジョンを伺います。

また、区長は施政方針において、「子育て支援計画を一年前倒しで改定し、次世代育成支援行動計画を策定し、少子化対策を強力に推進する」としています。2月1日現在の2005年度4月の保育園入園時の募集状況をみますと、区立保育園の募集人員371名に対し、応募人数は540人となっています。保育園入園の待機児童解消計画は当然将来ビジョンに積極的に組み込むべきです。この点もあわせてビジョンをお示しください。

 

幼保一元化や総合施設などの国の政策は、子育て支援政策と相まって変革期を迎えようとしています。これらとの関連の中で、文京区の保育園の位置づけをどのようにするのかをお示し下さい。また、子どもに関する文京区の縦割り行政を早期に改め、子ども関連施策を推進しやすい庁内体制を取るよう再度求めますが、いかがでしょうか。

 

第二次協議会の開催にあたり、福祉部長は「3月末まで検討を続け、区と保護者委員との間で合意形成に至らなかった場合は、議論を尽くした上で、結論を得る相違点がどこにあるかを明らかにするということにおいて、この協議会をやっていきたい」と発言しています。合意を得る努力は最大限すべきですが、万一合意に至らなかった時は、2園の公設民営化を一方的な判断で踏み切ることは、政策形成過程からの区民参画を名ばかりのものとし、民営化を押し付けることが保護者との協議会の目的となってしまいます。区長のお考えをお示しください。

 

2003年に父母連が行った保育園保護者に対するアンケートでは、「民営化しないで欲しい」という声が72%に達しているというほど区立保育園は高い評価を得ています。区はこれを誇りに思い、高い評価を守るべきではないでしょうか。その上で新しい施策の展開を講じるべきです。

「子育て支援対策は区のプライオリティーとしては非常に高い」と企画課長は述べています。保育園は子育て支援対策の重要課題の一つであることを十分認識すべきです。保護者とのこれまでの議論と検討を無に帰することのないよう、行革による目先の利か、子育て支援という未来への投資か、慎重な選択を行うべきです。

  

4.続いて、教育改革区民会議の第3部会で検討が進められていた特別支援教育に関して、国及び都において進展がありましたので、これらがどのように影響していくのかいくつか質問します。

 まず、04年11月に東京都特別支援教育推進計画が策定されました。これには、心身学級在籍者の増加とLD、ADHD、高機能自閉症など特別に支援を要する児童生徒への取り組みが区市町村の役割として明記され、小・中学校における校内体制の整備、関係諸機関や専門家との連携によるネットワークの構築など、国の制度改正に影響されない内容については、早期からの取り組みを積極的に進めることが求められています。

 国の動きでは、中央教育審議会が04年12月1日に中間まとめを発表しました。LD、ADHDなど特別に支援を要する児童生徒については、「小・中学校等における特別な指導内容、方法が十分に確立されていない現状にかんがみ、…特別支援学校(仮称)がセンター的機能の発揮等を通じて先導的役割を果たすことが期待されるとあります」としながら、通級学級にこれらの生徒・児童を加えることを含め、特別支援教育の観点から弾力的な運用が可能となる方向で見直しを行う必要があるとも提言しています。

 この方針に沿った文部科学省の特別支援教育推進と東京都の推進計画の方向性は矛盾しないのか、区の見解をお示しください。今後、固定的な心身障害学級や通級学級は残るのかどうか、各校に特別支援教室が配置されるのかどうか、改めて伺います。

 併せてこのほど小日向台町小学校に設置されることとなった通級制情緒障害学級が今後どのように運営されるのか、お答えください。

 区長の施政方針では、小学校1校を特別支援教育モデル校とするとありますが、これは、都の推進計画におけるモデル事業を行うのか、中央教育審議会で言う特別支援教室のモデル校なのか、お答えください。このモデル校がどのような研究実践を行うのか、具体的にお示しください。

 

 04年12月3日には、発達障害者支援法が成立し、発達障害(LD、ADHDなど)に対し、地方公共団体も適切な教育的支援、支援体制の整備を行うものとされました。04年12月14日、宮城県教育委員会は「障害児教育将来構想」中間案で全国初の統合教育推進を表明しました。

 文京区における発達障害(LD、ADHDなど)の適切な教育的支援,支援体制についての検討はどのように行われているのか、及び心身障害児や特別な支援を要する児童・生徒がインクルージョン=統合教育の方向で特別支援教育がなされるのか、基本的な考え方を改めて伺います。

 区では、普通学級に在籍している軽度発達障害児が増えているそうですが、どのように対応しているのですか? 特別支援教育コーディネーター養成研修の実績はどのようにあがっていますか?

 文京区には幸い障害教育に実績のある大学もあり、これらの研究者・専門家や教育センター・福祉センター、都立盲・ろう・養護学校などと広域連絡協議会を設置し、積極的に情報交換や協力体制を作るべきと考えますが、いかがですか。

 

5.続いて高齢者・身体障害者等の移動対策について質問します。

 2000年11月に交通バリアフリー法が施行されて、4年余りが過ぎました。この法律では、1日当たりの平均的利用者が5000人を超える駅などでは、市町村が、高齢者・身体障害者等の移動に関わる身体の負担の軽減を図るための、移動円滑化基本構想を定めることが出来るという努力義務を負わせています。文京区では5000人を超える利用者がある駅は、地下鉄6線20駅の全てが該当します。都内23区中、荒川区、千代田区、北区など3区がすでに移動円滑化基本構想を提出し、整備を進めています。法施行当時、会派の同僚議員が質問した際、区はこの基本構想を作らず、地域福祉計画に基づき対応していくと答弁されました。それでは、この4年間で、20駅についての協議や具体的な計画・バリアフリー化、周辺地域や道路の整備はどのように行われたのでしょうか。進捗状況を伺います。

 

 私は昨年12月半ばに足首を骨折し、一時的ですが身体障害者にとって、いかに外出が困難かを身をもって味わいました。例えば、シビックセンターに都営地下鉄の三田線で通う場合、白山駅は幸い地上から駅に向かうエレベーターと両側のホームに向かうエレベーターが設置され、乗降りが楽になりましたが、春日駅の地下通路のエスカレーターは一部上りのみで、下りはありません。高齢者の方からも上りより下りのほうが足元がこわいという声をよく聞きますし、私も実際松葉つえをついて歩くと、下りのほうが不安定で心もとない思いをしました。駅員に、ホーム行きのエレベーターを聞きましたが、大江戸線にはあるけれど、ここにはないというつれない返事でした。

 区役所や障害者会館があるシビックセンターの最寄の駅である春日駅に、エレベーター

や一部下りのエスカレーターが設置されず、バリアフリー化が不充分なことは問題です。

 移動円滑化基本構想には、重点整備地区における基本的な方針を定めることとしてあり

重点整備地区とは、「特定旅客施設との間の移動が通常徒歩で行われ、かつ、高齢者・身体

障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設そ

の他の施設の所在地を含む地区であることを含む」とあります。また、この法では、移動

円滑化基本構想を定めた市町村は、公共交通特定事業が実施されていないと認めるときは、

公共交通事業者当に対し、その実施を要請することができる(9条)とあります。

 区がシビック周辺を重点整備地域として移動円滑化基本構想を定めていれば、都営地下

鉄や東京メトロに対しても総合的にバリアフリー化を進めることができ、しかも国から補

助金を受けられる可能性は否定できず、重点整備地域として整備すべきだったと考えます。

 現状においては、少なくとも三田線春日駅の下りエスカレーターとホーム行きエレべー

ターの設置等のバリアフリー化については、早急に交通機関と協議し計画化するよう求め

ますが、いかがですか?

 

 また、地下鉄千駄木駅、根津駅に関しても、バリアフリー対策は急務です。町会や地元議員たちも加わり「根津駅を愛する会」「千駄木駅を愛する会」を発足し、エレベーター等の設置を東京メトロ側とも検討を進めていますが、用地取得が困難という状況です。区は周辺地域の建て替え工事などの情報把握を行い、東京メトロ側と積極的に協議するべきと考えますが、いかがですか?

 なお、障害者団体も、地下鉄各駅のエレベーター設置を強く要望していましたが、区の回答では根津・千駄木駅について2004年度を目途に改札口から地上に通じる階段に昇降機を設置するとありました。東京メトロの説明では千駄木駅の強い風害対策と同時にバリアフリー化を進めるとのことですが、風害に対する階段昇降機の安定性を区はどのように把握していますか。また、ホームへの昇降に関しては未回答です。引き続き、ホーム行きエレベーター設置を強く交通機関に要望し、協力していくよう求めますが、いかがですか?

 

 次に、民間の移送サービスへの支援について伺います。移送サービスは23区内でもNPO法人等が活動し、私のように不慮の怪我や、妊娠中の女性、子ども連れ、歩行が困難なお年よりなど移動困難者にとって大変便利で、通院や外出などの利用が拡大しています。板橋区では6団体による「板橋移動サービスネット」が設立され、このほど特区認定を受け、障害者らの移動を有償で支援することになりました。また、山梨県では道路運送法に基づいてタクシーなどに限定してきた有償運送を、市町村が設ける運営協議会において同意したNPOや社会福祉法人へも拡大する方針を出しました。このように他自治体では、福祉有償運送の必要性、利便性を重視し、積極的にバックアップしようとしています。

 ところが、文京区では、これまで運営協議会の設置と補助金に関する要望が繰り返しなされたにも関わらず、いまだ何も改善されていません。補助金に関しては、都の地域福祉振興事業により助成を受けている団体、NPOは16件に及び、その補助金を受けない場合は独自の自治体補助を受けています。リフト付き福祉車両による移動支援を行う文京区内NPOだけが、都の補助金も区の補助金も受けられないまま活動を続けています。着実に利用実績があがっている現在、05年度からこれらの助成が受けられるよう検討することを、再度要望します。

 

6.最後に介護保険制度の改正に関連して伺います。

区長は、今定例会での施政方針で介護保険制度について触れ、介護保険制度の大きな見直しを内容とする改正案がまとめられことについて、「制度発足時の予測を超える利用状況を踏まえ、持続可能な、よりよい制度とするためのものと認識」したと述べましたが、区長の認識に関しては疑問を感じざるを得ません。

政府は2月8日に、軽度の要介護者への新予防給付の創設や、施設入所者の家賃などを原則全額自己負担とすることを柱とする介護保険法改正案を国会に提出しました。

高齢化社会の到来は介護保険制度が創設時からのテーマでありながら、その導入時には制度設計を「走りながら考える」とし、この五年後の見直しにおいても「走りながら考える」という状況ではないでしょうか。

介護保険制度は、その導入の理由として語られた介護の社会化や利用者本位のサービス、高齢者の選択などの理念や目的は、多くの国民がそのことに期待をしてきたものでした。

介護保険制度は「地方分権の試金石」とまで言われたと厚生労働省は自負していますが、介護保険の制度レベルでの見直しの議論は一部関係者の間にとどまり、その見直しの手法も、給付対象者と給付内容の変更も中央集権的な管理と統制によって行なわれようとしていることは皮肉です。

全国の自治体が一貫して要望してきた財政負担等に関する要望は実現されたのでしょうか。市長会の国への要望でも各保険者に対し給付費の25%を確実に配分し、現行の調整交付金は別枠化するとともに、財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすることや、低所得者対策についても、保険料及び利用料の軽減策が不十分なことから、国の制度として、財政措置を含めて総合的かつ統一的な対策を講じるよう、抜本的な見直しを行うこと等を要望してきました。これらの要望については具体化されていません。区長の考えを伺います。

 

昨年7月に厚労省がまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」では、「新予防給付」を導入する理由として、介護サービスが要介護の状態改善・悪化防止につながっていないと指摘していますが、具体的なデータは一切示されていません。例えば「新予防給付」の必要性の説明では「介護保険制度におけるサービスについても、軽度者の状態の改善・悪化防止に必ずしもつながっていないとの指摘が強い」とか、「家事代行型の訪問介護サービスを利用し続けることにより、能力が次第に低下し、家事不能に陥る場合もあると指摘されている」といったあいまいな表現で、統計資料等も示さずに結論を誘導しようとしています。

しかし、「介護給付」の効果を検証するためには、同程度の介護度の者について、「介護給付」をまったく受けない群と受ける群とに分けた上で、その後の要介護度を比較することが最低限必要であることは当然ですし、厚生労働省がまとめた「介護給付費実態調査報告」(二〇〇二年度分、二〇〇三年度分)では、他の介護度の者に比べ、要介護1の重度化率が最も低く(18%台)、維持及び改善率は最も高い(83%程度)との結果が出ていることも指摘されています。

厚生労働省は、新予防給付及び地域支援事業は、介護認定者の5割を占める要支援や要介護度1等の軽度者を介護及び生活援助から除外することによって、将来の介護給付費を大幅に削減できるとの試算を示し、今回の制度「改正」の目玉に位置づけています。

区長は、介護保険制度の適正な運営を目指し、「利用者の自立支援という制度の趣旨にそぐわない過剰、あるいは不適正なサービス提供を防ぐ」としていますが、そのような現状をどのように調査したのでしょうか。その実態はどのようなものなのか伺います。

介護保険制度は、介護ニーズを供給するシステムです。介護保険制度に「予防システム」を加え、予防機能を強化するという立場と、介護給付を予防給付に置き換えようとする意味は本質的に違うはずです。高齢者の心身機能の特長と生活環境からいえばその状態がだんだんと悪化することは避けられない側面があります。本来の介護サービスの目標が高齢者の生活の支援ですが、「介護予防」を強調することで、身体状態の改善にその目的を変更するならば、「介護の社会化」という理念からの逸脱になるのではないでしょうか。現在の要支援や要介護1の要介護者の生活機能向上の観点から、介護及び生活援助のニーズに今後とも対応すべきだと考えますが、区長の考えを伺います。

 

2006年度から予定されている新予防給付及び地域支援事業に盛り込まれる事業には、老人保健法に基づく保健事業、介護予防・地域支えあい事業及び在宅介護支援センター運営事業として公費で実施されている事業が挙げられており、これらを介護保険制度に吸収し、高齢者等の介護保険料に肩代わりさせるものです。

介護予防事業の充実・強化は重要な課題ですが、これを介護保険制度に吸収することとは別の問題です。老人保健法の保健事業等の介護保険化が今回の「改正」の名目で実施されるならば、すべての高齢者を対象に推進されてきた老人保健法での事業の根幹を揺るがす変更です。

これらの事業の利用に際し、介護サービス並みの利用料負担が徴収されることになれば、住民税非課税世帯を含めた健康診査等の有料化という事態となりますし、第14条で「無料の原則」を謳う地域保健法の理念との関係で言えばその理念が著しく歪められます。介護保険料滞納者が発生すれば、その利用は制限されることになりますが、そのことについて国の説明責任は果たされていません。区長はこのことをどのように考えているのでしょうか。

 

老人保健法に基づく保健事業、介護予防・地域支えあい事業、在宅介護支援センター運営事業は、従来通り、国及び地方自治体の責任により、老人福祉事業としてさらに充実を図るべきです。また、その中で予防事業の蓄積を得て、介護予防効果の評価に関する研究を政府においてすすめるべきでだと考えますが、いかがでしょうか。

 

東京都は、1月に「介護保険制度改革の円滑の実施に向けた東京都からの提案」を国に提出しました。その内容は、介護保険制度の改正の全般に係る要望であり、現実的な問題です。都は介護保険制度の見直しについて「さらに検討を要する点や配慮を要する事項」を指摘しています。区長は、この提案で要望されている新予防給付の内容・施行時期、その対象者の選定、地域支援事業の対象者の選定、地域支援事業の財政、施設給付の見直し等や、低所得者対策の見直し等の様々な課題について区民の介護サービスを円滑に運営する上でどのように考えているのかを、伺います。

施設利用に係る居住費・食費の全額自己負担化を本年10月からの実施が法案化されましたが、これにより、特別養護老人ホーム等の居住費(減価償却費及び光熱水費)、食費(食材料費及び調理コスト)が介護保険からはずされ、介護給付費は1300億円の削減(内、国庫負担420億円)される見込みです。ショートステイ等の通所系サービスの食費についても保険給付からはずされるとのことです。

居住費・食費の額は、低所得者については負担上限額が設定されますが、他の入居者や利用者は事業者との契約で取り決めることができるようになり、その額は法律事項ではないので事実上の青天井です。低所得者対策としては、補足的給付が新設されますが、世帯非課税の低所得者の負担能力から考えると、新第二段階保険料で個室の場合は月額三万七千円程度の負担、新第三段階保険料でも月額七万円程度の自己負担が想定されます。特別養護老人ホームの入居者の八割以上が住民税本人非課税者と生活保護受給者であることから、自己負担額を差し引いた小額の年金から医療費や様々な支払いが発生することを考えると、低所得者の対応が解決されているとは思えません。特別養護老人ホーム等で生活する高齢者の生活保障の立場から考えるなら、世帯非課税や本人非課税者の自己負担ではなく、税負担能力のある所得層からの応能負担を原則とすべきですが、如何でしょうか。

文京区においては、法改正が行なわれることによる介護保険会計への影響はどのようなものになるのでしょうか。新予防給付と地域支援事業、地域包括支援センターの創設等、平成18年度四月から実施されるとするなら、このことによる影響はどのようなものでしょうか。

区長は、介護保険制度の改定を受けて平成18年度から20年度までの第三期介護保険事業計画の策定に今年度取り組むとしています。

介護保険制度の改定で、従来の施設整備費補助金が廃止され「地域介護・福祉空間整備等交付金(仮称)」として国の予算では866億円が今年度計上され、市町村事業の対象として小規模特養、老健、特定の指定を受けたケアハウス、認知症高齢者グループホーム、夜間対応型訪問介護、介護予防拠点の改修、地域包括支援センター等を明示していますが、第三期介護保険事業計画にどのように反映させようとしているのでしょうか、伺います。

 

この質問の最後になりますが、文京区の介護保険の更なる質の向上と基盤整備は多くの区民が求めるところです。しかし、来年度の文京区の予算案で、経過措置として行なわれてきた高齢者在宅サービスセンター運営費、在宅介護支援センター運営費の削減等や低所得者対策として行なわれてきた訪問介護利用者負担軽減特別措置事業の全廃が挙げられています。「介護の社会化」を求める区民の願いに逆行する削減であり撤回すべきです。区長如何でしょうか。