市民フォーラム代表質問への 煙山文京区長 答弁 2004年11月22日 |
| 鹿倉議員のご質問にお答えします。 最初に防災対策についてのいくつかのご質問にお答えします。 まず、私の防災に取り組む新たな決意についてのお尋ねですが、 私は、湯之谷村の閉村式に出席するため、新幹線で当地に向かっている際、今回の新潟県中越地震に遭遇いたしました。外部との連絡が取れず、災害発生時には情報連絡の確保や避難誘導の迅速性がいかに重要かを痛感いたしました。翌朝、直ちに湯之谷村に向かい、村長、三役とで「災害時における相互支援に関する協定」に基づく応援協力について、協議したところであります。 今回の震災の被害状況や被災した自治体の対応状況などを勘案すると、地域防災計画の見直しが必要であると考えておりますので、防災会議に諮ってまいりたいと存じます。また、現在作成している震災復興マニュアルにも、今回の震災による課題と対応策などを加えてまいりたいと考えております。 これらを含め、今後も、より一層震災に強いまちづくりの構築に向けて全力で取り組む決意であります。 次に、災害要援護者への支援についてのいくつかのご質問にお答えします。 まず、災害時の要介護者への支援策についてですが、 本区では、区立小・中学校が避難所となっていますが、要介護者等ケースに応じて、区内の特別養護老人ホームや高齢者在宅サービスセンター等を二次避難所として活用を図りたいと考えております。そのために、各施設の運営委託をしている社会福祉法人との間で応急業務の協力に関する協定の締結を検討しています。 また、避難生活における支援体制についてですが、 高齢者等災害要援護者への配慮として、避難所では、おかゆや車いすの配備などを行っているところですが、今後必要とされる資器材については順次検討してまいります。避難所に避難した後の対応としては、一階部分に避難スペースを割り振ることなどを考えており、このことについて避難所運営訓練を通して周知しております。 災害要援護者に対しては、プライバシーに配慮するとともに、孤独にならないようにすることも大切であり、区民防災組織と協力しながら避難生活の支援方法を検討してまいります。 次に、災害時及び防災に関する外国人への支援等についてのお尋ねですが、 区では、従来から、英語、中国語、ハングルで書かれた防災地図を作成し、外国の方に避難方法、避難所、日常から家庭でできる防災対策などを周知してまいりました。 また、総合防災訓練への参加を積極的に呼びかけるとともに、文京区国際協会が実施している防災ツアーの中で、本区の防災対策についての説明も行っております。さらに、実際の避難所の様子を知っていただくため、本年度は国際協会と協力して、外国人の避難所運営訓練への参加を行う予定であります。 なお、災害時には、都が設置する「語学ボランティア制度」等を活用するとともに、普段から通訳等への防災知識の普及を図ることにより、外国人への支援を行ってまいります。 次に、災害時のペットの受け入れ対策についてのご質問にお答えします。 災害時のペットについては、小・中学校の避難所において場所が確保されるよう検討しております。また、負傷動物の保護などについて、昨年より文京区獣医師会と協議を進めているところであります。 次に、帰宅困難者に関するいくつかのご質問にお答えします。 まず、事業所等への啓発についてですが、 事業所等に対しては、水・食料の備蓄などを含め災害時への対応について、各種訓練時に説明するとともに、区報や文京産業ニュース「ビガー」への掲載により周知しているところであります。また、在勤者を帰宅困難者と位置づけるのではなく、事業所の訓練などで町会や近隣の住民との連携を図ることにより、地域の力となるようお願いしてまいります。 次に、組織に属さない帰宅困難者についてのお尋ねですが、 組織に属さない帰宅困難者への支援については、都との連携を図りながら、特に区内の都立高校に設けられる帰宅支援ステーションの運営や訓練の実施について協議してまいりたいと考えております。また、発災時から関係機関との連絡を十分にとることで、帰宅者の安全を図り、帰宅時の混乱が生じないように対応してまいります。 次に、食料備蓄の見直しについてのご質問にお答えします。 食料備蓄については、三食一日分の区の備蓄に加え、都からの食料委託物資も区の備蓄倉庫に備蓄しております。したがって、特に、増やす予定はありません。また、自らも災害に備えていただくために、各ご家庭や事業所にも備蓄について周知しているところであります。 次に、災害対策本部運用訓練等における考察についてのお尋ねですが、 現状では、避難所に帰宅困難者が避難することを前提に考えており、当面、避難所を別に確保することは考えておりません。なお、庁舎近辺にある大規模施設とは情報提供等の連絡を密にし、滞在者の不安を取り除くことで帰宅支援ステーションが開設するまでの間、極力、来訪者等が大規模施設内に留まれるようにお願いしていきたいと考えております。 次に、大学との連携についてのご質問にお答えします。 区では、区内の大学と防災について協議する場を設けております。区内大学の中には、区との連携が可能であるとする大学もあり、今後ボランティア活動も含めて、一時的避難所としての災害時の対応等についての連携を協議してまいりたいと存じます。 次に、広域的な訓練、及び、帰宅困難者対策の組織についてのご質問にお答えします。 帰宅困難者への対策は、本来的には都の役割ですが、帰宅困難者が発生し、また、区を通過することもあり、区でも一定の役割を担う必要があるため、広域的な連携について都と協議してまいりたいと考えております。また、災害対策本部における帰宅困難者対策は情報班の任務としております。 次に、耐震補強工事の助成についてのお尋ねですが 民間の建築物については、本来その建築物を所有している方の責任によって維持・管理されるべきと考えます。 区ではこれらの方々を側面から支援するため、昭和五十六年以前の建築物の耐震診断に要した費用の一部を助成しているところです。 しかしながら、老朽木造住宅密集地域では、震災時に建築物の倒壊による道路閉塞の恐れがあります。これにより、避難や消火活動が困難になるばかりか、倒壊木造建築物から火災が発生した場合、延焼の危険性が一層高まると指摘されております。 そうしたことから、千駄木・向丘地区において指定する避難路沿道の建築物の耐震性を確保する工事に対しての助成制度を検討しております。今後、他の木造住宅密集地域や地域危険度の高い地域についても検討してまいりたいと考えております。 次に、家具等の転倒による区民の被害防止についてのお尋ねですが、 家具等の固定については、本年度実施している「防災リーダー育成講習会」の中に「家具の転倒防止」に関するカリキュラムを組み入れることにより、地域での支援に繋がるようにしております。また、防災課では転倒防止器具の販売あっせんを行っており、転倒防止の重要性について周知を図っているところであります。 また、さらなる防災対策の強化をとのご質問にお答えします。 今回の新潟県中越地震では、建物の倒壊等による直接死よりもその後において、地震によるショックやストレス、また、エコノミークラス症候群などによる、いわゆる間接死が多く見られました。私は、これらの発生を未然に防ぐためには、速やかな情報提供、適切な避難誘導、避難所の設定などを行うことが極めて重要であると考えております。 そのため、現在策定中の震災復興マニュアルにおいて、被災者の心のケアについて検討しているところであります。 次に、茗荷谷駅前地区再開発事業についてのご質問にお答えします。 はじめに、都市計画審議会の付帯意見についてのお尋ねですが、 都市計画審議会の付帯意見については、尊重してまいりたいと考えております。 したがって、高さや景観、周辺環境への配慮、更には住民への説明に努めるなど、今後、準備組合が行う建築物の基本設計等、再開発事業を推進する中で、引き続き指導してまいります。 次に、意見書の扱いについてのご質問にお答えします。 都市計画法第十七条第二項には、「関係市町村の住民及び利害関係人は、縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された都市計画の案について、市町村に意見書を提出することができる」こととされています。 したがって、茗荷谷駅前地区第一種市街地再開発事業の決定及び高度利用地区の変更の都市計画案についての意見書は、縦覧期間内に区へ提出されたものを正式な意見書として受理し、都市計画審議会に報告しております。 なお、今後の新たな都市計画案についての意見書の取扱いについては、ご指摘のような誤解を生まないためにも、日付の確認をした上で受理するようにいたします。 次に、都市計画事業への区民参画についてのご質問にお答えします。 市街地再開発事業などの都市計画事業は、一般的に、関係権利者との権利調整が伴うものであり、関係権利者以外の者が、事業に参画して進めることには、なじまない面があると考えております。 都市計画案に対する住民等の意見については、都市計画法第十六条及び十七条の規定に基き、述べることができます。 また、これまでも都市計画案についての周知・理解を図るために、法に規定する以外の説明会なども行なっておりますので、現在のところ、新たな手続を定める考えはありません。 次に、自治基本条例についてのいくつかのご質問にお答えします。 まず、区民からの意見・要望をどう考えているかとのご質問ですが、 「文の京の区民憲章に関する最終報告」は、「区民憲章についての区民会議の提案に関する意見・要望」の内容を踏まえ、まとめられたものと理解しております。私は、これらの検討の結果としての最終報告を尊重して条例案を策定したものであります。 次に、「協働・協治」だけの条例となったのではないか、とのご指摘ですが、 「協働・協治」は、区民や各種団体、事業者及び区が対等の関係で協力し、地域の社会資源を有効に活用しながら、地域社会の公共的な課題の解決を図る社会のあり方を規定したものです。成熟社会を迎えた今、このことこそが、都市自治体としての文京区の目指すべき自治の姿であると考えております。 次に、識者の研究等を改めて十分に検討すべき、とのことですが、 区民憲章に盛り込むべき内容については、東京大学公共政策大学院長の森田朗教授を会長とした「文の京の区民憲章を考える区民会議」において、一年二か月にわたり、熱心に検討がなされました。会議の初期段階では、「ガバナンス」について、賛成・反対の検討が行われるとともに、ご指摘の内容についても議論がされたと考えており、私としては、あらためて識者の指摘について検討する考えはございません。 次に、「協働・協治」を区民の責務とすることに、すべての区民の同意が得られているのか、とのご質問ですが、 区民会議の中間のまとめについては、各町会や民生・児童委員、青少年対策地区委員会などの皆さんを対象に計二十三回の説明を行いました。また、区民会議の委員の中には、事業者としての立場での参加や、NPOの運営に関わっている方の参加があり、十分区民の皆さんの同意を得ていると考えております。 次に、「協働・協治」を区民に義務付けている、とのご指摘ですが、 区民の責務については、「自主的な判断により参画する。」として規定しており、「『協働・協治』に区民を総動員する内容だと区民に印象づけるもの」というご指摘は、まったくあたらないものと考えます。 次に、区政への参画についてですが、 区政への参画は、区民の権利として規定した内容に包含されるものであります。 そして、こうした区民の権利を執行機関の責務として明確に規定しているものあります。 次に、区長についての記述ですが、 何度も申し上げている通り、区長の責務についても、区民会議の最終報告を尊重して条例案を策定したものであります。 なお、区長は、直接選挙により選ばれた区民の代表者であり、地方自治法で、地方自治体を代表するものとして定めてあることから、「文京区の代表者」としたものです。 次に、新公共経営や「保証役としての役割」についてですが、 教授が、新公共経営について、利点や問題点を指摘していることは、私も承知しています。 本区が進めてきた新公共経営は、民間の経営手法を行政現場に積極的に取り入れることにより、施策を効率的・効果的に実施するとともに、成果を重視し、顧客としての区民の満足度を最大にすること、そして、区民参画を背景とした区民との協働関係を構築し、手を携えてこの「文の京」をつくっていくことを目指すものであり、新公共経営の利点を生かし、その課題や問題点を克服しようとするものであります。 また、こうした新しい経営手法を発展させた「協働・協治」をすすめるなかで、自治体は、住民との間に協力関係を生み出す調整型機関に成長していくものと考えます。そこで、新たな区の役割として「調整役としての役割」を規定したものであり、区民サービスの低下につながるというのは、まったくの杞憂であります。 次に、基本構想審議会答申の「おわりに」と自治基本条条例の内容についてですが、 自治基本条例は、基本構想審議会答申の「おわりに」の指摘に沿って内容の検討を開始し、今定例会に条例案を提案したものです。なお、審議会答申の「おわりに」は、審議会の付帯意見として指摘されたものであり、盛り込むべき内容の検討に当たっては、その指摘を、尊重してきたものと認識しております。 次に、条例案の区民周知についてですが、 今回議会で審議いただく条例案は、法制執務上の整理を行いましたが、区民会議の最終報告を基本として策定いたしました。そのため、最終報告の内容とほぼ同様のものとなっており、区民の皆さんへは、条例制定後、その意義を十分に周知してまいります。 次に、区民の意思表明や住民投票を行うべき、とのお尋ねですが、 これまで、区民会議の中間のまとめや最終のまとめでは、区民周知を十分図ってきました。何度も申し上げておりますように、条例案は区民会議の最終報告を基に策定したものであり、そのため、策定に当たり、改めて全区民の意見をお聞きすることはまったく必要のないことと考えております。 区民憲章は、研究会の開始から三年の期間をかけ、様々な視点から検討してまいりました。そして、その内容については、多くの区民の皆さんにご理解とご協力をいただけるものであると考えております。 フランスの思想家であり詩人であるポール・ヴァレリーは、反省や皮肉をこめて、「われわれは後ろ向きに、後ずさりしながら未来に入ってゆく」という言葉を残しました。私には、文京区政を担う者として、地方分権が進展し、大きく社会経済が変化する中にあっても、豊かで住みよい地域社会を築いていく責務があると考えています。変化の時代にあっては、未来に背を向けたまま、これまでの制度にしがみつくだけでなく、これまでの制度の長所や短所を見極めながら、区民の皆さんとともに、新しい文京区の自治の制度を確立していくことが大切であります。そのために、「文の京」の自治基本条例を制定するものであることを付言しておきます。 最後に、安全・安心まちづくり条例についてのご質問にお答えします。 はじめに、条例案の立法事実の根拠と、前文の変更理由についてのお尋ねですが、 都及び本区における犯罪の認知件数は、平成十一年度から十五年度までを比較しても増加傾向にあります。こうした中、犯罪の減少や抑制をしていくためには警察の対応だけでなく、区、区民、地域活動団体、事業者などを含めて、広く連携、協力して地域全体で取り組んでいくことが重要であります。 また、現在、PTAや町会による、自主的な防犯パトロールが実施されるなど、防犯についての社会的機運も高まってきております。そのための合意形成として、条例化を目指したものであります。 なお、前文については、区民等の意見を反映させたこと、また、本条例案は、都市における犯罪に対する不安を立法の一つの契機にしておりますが、犯罪防止対策に特化した条例ではなく、総合的な安全・安心のまちづくりを指向するものであるため、表現を一部改めたものであります。 次に、条例案の法的な考察、及び、基本的人権についてのお尋ねですが、 条例化にあたっては、憲法、地方自治法、行政手続法、警察法など他法令等との関係を、行政実務に関しては、喫煙の制限、肖像権の侵害などの判例を、学説等に関しては、行政指導に関する処分性、行政行為と事実行為などの検討を行い、文京区安全・安心まちづくり協議会において、ご意見をいただくほか、広く区報等を通じてご意見をいただいてまいりました。 基本的人権は、当然に尊重されるべきものであり、条例案の第二条の基本理念として、「区、関係行政機関、区民、地域活動団体及び事業者等は、安全・安心まちづくりに当たって、自由及び権利を尊重しなければならない。」としております。 また、区民の権利と自由が尊重されるための具体案としては、区として、防犯機器の設置等についての区民の権利と自由を尊重した運用基準を作成し、関係行政機関、区民、地域活動団体、事業者等に指導していくような方法を検討しております。 次に、条例案に対する指摘についてのお尋ねですが、 ご指摘の、区内に事務所を置く弁護士の方々から、犯罪の検挙や予防は、警察の責務であり、警察が現行法のもとで検挙率をあげるべきで、区が条例をつくる必要性は導き出せないとの趣旨の要請書をいただいております。 しかし、私は、安全で安心して暮らせる地域社会の実現を図るためには、犯罪を予防・防止・抑止していくという考え方から、区、区民、事業者などがそれぞれの役割を果たすとともに、相互に連携・協力して対応する必要があり、その合意形成のためには、条例化が必要と考えております。 なお、条例制定後の施策を推進するにあたっての必要な規定は、規則により定めてまいりたいと考えております。 また、具体的な施策の推進にあたっては、条例制定後、区民、地域活動団体、関係行政機関等により設置する協議会での検討を通じて、進めてまいりたいと考えております。 次に、区民の情報、プライバシーについてのお尋ねですが、 当然に、警察においても、既存の個人情報の保護に関する各種の法令に従うことが求められております。また、区としても警察に対し、不必要な情報を提供することはありません。 次に、安全・安心まちづくりは、要綱や事業計画で十分対応できる、とのご指摘ですが、 区には、地域の総合的な行政主体として、快適な区民生活や、安全で安心して暮らせるまちづくりを積極的に推進していく責任があります。本来、犯罪から住民を守る中心的な役割は警察にあると考えておりますが、犯罪の増加、検挙率の低下といった現状においては、警察だけの対応では犯罪の減少や抑制をしていくことは、大変難しいと考えられております。 そのため、犯罪を予防・防止・抑止していくという考え方から、地域全体で、区、区民、事業者などが協力して対応する必要があるといえます。この考え方を展開するためには、地域における様々な方々との連携や協力が必要であり、その合意形成のためには、条例化が必要と考えております。 また、検討が不十分ではないか、とのご意見ですが、 本条例案の策定にあたっては、学識経験者、各種団体代表者、関係行政機関、公募区民による「文京区安全・安心まちづくり協議会」において、十分にご意見をいただいたほか、区報を通じて、広く区民の皆さんからのご意見もいただき、様々な面から十分な検討を行ってきて今回の条例案に至っているものであります。 なお、文案の修正は、条例化の検討にあたり、基本的人権の尊重の必要性を明確にし、安全・安心まちづくりを推進する各主体の責務を、より適切な表現にあらためたものであります。 |